産と学が継続的・自律的に実践的IT教育講座を実施していくためには、どのような取り組みが有効か?

はじめに

産学が連携して実践的なIT教育を行う事例は増えているものの,継続性・自律性の面での課題は多い.これを打破するために,大学教員と企業内教育担当者との間での人的交流を深める取り組みが望ましい.

継続性・自律性に関する現状

近年,企業の方が大学で教育を行って頂く機会が増えてきた.好ましい状況変化ではあるが,継続性・自律性の面での問題も発生している.

  • 大学へ企業の人に来て頂き,学生に対して実践的な教育ができたとしても,大学自体(教員)が変わらなければ持続的に実践的な教育はできない.
  • また,企業の人が大学にきても,大学の文化になじめず違和感を感じる方も多い.そのことから,企業人が大学で教育を行う意欲をスポイルしてしまう例もあり,自律的な教育ができる段階まで達しない場合もある.

教育者同士の交流

単に,実務経験者を大学に教員として招くだけでは,解決できない課題があると考える.また,良い選手が必ずしも良い監督とはなれないことと同様,実務経験が豊富であると言うことが必ずしも教育者として最適だとはいえないこともある.

そこで,ターゲットを絞り,企業内教育(研修)を担当している実務者と大学教員とで交流する機会を増やすことを提案したい.同じ教育者としての立場の者同士が連携することで,今まで以上に実りある成果が出るのではないか.

具体的には,双方が互いに,相手がどのような教育をやっているのか見学にいく方法があるであろう.大学の教員が,企業の研修に参加したり,大学人が企業に行って,企業内教育の担当者に対してコンピュータサイエンスの講義を行うのも一案である.

まとめ

ただ学生に実践的な学習機会を与えるだけではなく,教員が育っていかないと継続的・自律的な教育は望めない.教育者同士の交流の場を作る取り組みを実施して頂けることを期待する.